今、新築マンション価格高騰が話題です。新築マンションの平均販売価格が東京で1億を優に超えたとか。

となると、富裕層とかパワーカップルではない人がマンションを購入する場合の選択肢は何かといえば、

「中古マンション」です

しかし、中古マンションといえば、一方で老朽マンションの問題もクローズアップされています。

修繕積立金が上昇を続けとんでもない額になったり、マンション管理組合が修繕費を払えなくて不具合が放置される限界マンションになったり。

どのようなマンションを選べば、そのような問題に巻き込まれず将来に渡って安心して住めるでしょうか?

物件価格が安くて、ランニングコスト(管理費、修繕積立金)も安くて、資産価値があって、限界マンションにならないマンションを教えて!

今回は賢いマンション選びのためにマンションの仕組みを深掘りして解説します。

修繕積立金が暴騰せず、限界マンション化もしないマンションの選び方

マンション選びは立地や価格が重要!

それはもちろんその通りですが、長い目で見たときに、修繕積立金が暴騰せず、かつ、限界マンションにもならないマンションを選ぶためには、加えて確認すべきこと、知るべきマンションの仕組みがあります。

以下、順を追って記載します。

マンション選びと修繕積立金

マンションと修繕積立金
Q
マンションを選ぶ際は修繕積立金の安さを重視すべきでしょうか?
A

見るべきは修繕積立金が適正額かです!

修繕積立金が安くても、本当の意味で維持コストが低いとは限りません本来は上げなければならない修繕積立金が住民の合意を得られず、据え置かれていることもあります

意外と浅い修繕積立金と長期修繕計画の歴史

長期修繕計画を立てて各戸の修繕積立金を設定するようになったのは1990年くらいからです。以前はタダ同然の金額で、以降も修繕積立金が高いとマンションは販売しづらいので、低目に設定したマンションが多かったです。

高い修繕積立金は、値上げができない管理組合運営よりマシ

途中から修繕積立金を値上げしたものの、まだ本来上げなければならない水準になっていないところもあります。住民の高齢化や、所得水準によってはなかなか値上げの合意が得られないのです。

城下智生

というか、このインフレ時代に10年以上前の長期修繕計画は当てにならないという現実から多くのマンションが目を逸らしています…

修繕積立金を押し上げる構造・設備とは

Q
修繕積立金はどうやって決まるのでしょうか?
A

修繕積立金は長期修繕計画を元に将来の修繕費用を見積って算出しますが、修繕費用が高額になりがちな構造、設備があると、修繕積立金を押し上げる理由になります

修繕費用を押し上げる構造、設備は以下のようなものです。

マンションが小規模でスケールメリットがない

マンション総戸数が少ないと、一部屋ごとの負担が割高になりがちです。特に戸数の割に階数が高く角部屋ばかりの構造だと、外壁率が高く、大規模修繕の際の外壁修繕費用が高くなります。

機械式駐車場

ピット式にしろ、タワー式にしろ、部材のモーターやワイヤーは耐用年数がマンション本体より短く、日常的なメンテナンスや部品交換も必要になります。

豪華仕様

温泉設備や台数の多いエレベーター、タワーマンション等は維持にお金が掛かります。タワーマンション上層階の外壁修繕は工事足場設置等、困難を極めます。

温泉施設は水道管の劣化腐食を生じさせ長期メンテナンスコストは高騰します。平成バブル期のリゾートマンションはメンテナンスを諦め温泉を廃止したものも結構あります。

将来の修繕負担を減らしたいならこういったマンションは避けるべきですが、エレベーターなしとかはキツイです
修繕費用と利便性は一般的にはトレードオフの関係にあります

修繕積立金と限界マンションの関係

Q
限界マンションになるのは修繕積立金が高いからでしょうか?
A

現在の修繕積立金額よりも区分所有者の問題意識と修繕積立金の負担能力が重要です
管理組合運営が行き詰まり不具合を放置しているものを限界マンションと言います。限界マンションの表面化は不具合放置でも、本質的な問題はまた少し異なります

区分所有者の問題意識の薄さ

限界マンションにしないためには、マンション管理組合運営を自分達の問題として積極的に良くしていこうという意識の積み重ねが欠かせません。意識が低いと、難しくて懐が痛む問題は後回しになりがちです。

区分所有者の負担能力

区分所有者がマンションの問題に向かい合うということは、ほぼコストと向かい合うということと同義で、必然的に修繕積立金等の値上げの議論になります。値上げが承認されるかは、修繕積立金の額というより、むしろ区分所有者に経済的余力がどれくらいあるかです。

城下智生

区分所有者が実際に住んでいるマンションは意識が高いことが多いですが、投資用、リゾート、大口の区分所有者がいる場合のその他の区分所有者は一般的に意識低目です…

修繕積立金の額とマンションの修繕費用には当然に相関がありますが、本当は修繕費用が安く済むのに修繕積立金を無駄に高くしているマンションはほぼありませんが、逆に、本当は修繕費用がもっと掛かるのに修繕積立金を安くしているマンションはあり、そのようなマンションが限界マンション予備軍です

限界マンションへの分かれ道

Q
将来、限界マンションになりやすいマンションはどうやって見分ければいいでしょうか?
A

まずは長期修繕計画があるかを確認しましょう
長期修繕計画がないマンションは、長期修繕計画すら立てられないほど管理組合の運営が消極的だと考えて間違いありません

長期修繕計画に向き合う覚悟

長期修繕計画を立てるようになったのは1990年代頃からです。それ以前に建てられたマンションは後付けですが、それは見たくない現実(このままでは修繕積立金が足りない)を直視することを意味し、管理組合運営にそれなりの足腰の強さが必要です。

長期修繕計画の通りに修繕積立金の値上げが実施されているか

長期修繕計画があるだけではなく、予実管理も重要です。といっても計画通りに修繕が実施されているかというより、長期修繕計画には修繕積立金の値上げのスケジュールも記載されています。修繕積立金は自動的に値上げされるのではなく、組合員による総会決議が必要で、それができているかを確認します。

城下智生

限界マンションを避ける最も一般的で無難な方法は大手の管理会社に依頼することです。長期修繕計画を策定から予実管理までしっかりサポートしてくれます(もちろん最終ジャッジは区分所有者自身)。ただし、工事会社から管理会社へのバックマージンもあり、修繕費用と管理費はそれなりの負担を求められます

買うならどんなマンションがいいか

Q
結局、どんなマンションを選ぶべきでしょうか?
A

それなりの立地と建物グレード中規模以上の戸数をおすすめします。
逆に、そのマンションに住んでいない区分所有者が多かったり、立地や建物グレードが低い、修理費が嵩む構造はオススメしません

管理運営を自分事と捉えるゆとりのある区分所有者が多い

長期修繕計画といった面倒に目をつぶらず、コストを払い実行できるのは、そのマンションに実際に住んでいて、金銭的余裕のある人です。そのような方は、投資用やリゾート向けではなく、それなりの立地でそれなりの建物グレードのそれなりの価格のマンションに集まりやすいです。

あまりに修繕コストが嵩むものはNG

どんなに新築時は豪華で富裕層向けであっても、戸数が少ない、機械式駐車場が多い、温泉等豪華施設等があるといった修繕費用が嵩む構造だと、年数の経過とともに物件の魅力は薄れるのに反比例して修繕積立金が高騰し、不人気物件となりがちです。そうなると、富裕層はそのマンションに興味を失くします。

城下智生

修繕費用が嵩むのに、区分所有者の意識や負担能力が低いものは論外です
逆に、駐車場を平置きで、エレベーターなしの低層マンションは維持コストは安くなりますが、地価が安い郊外にしか作れず、資産性が低く、区分所有者の所得層もそれに応じる傾向があります

それなりの資産性がある立地、建物グレードの中規模以上の戸数のマンションが、修繕費用の額と、その負担能力からみて最も無難かもしれません。ただし、物件価格は安くはなりにくいです。

管理会社を変更すればランニングコストを下げられるか

Q
管理会社を変更すれば管理の質を維持しながら、管理費や修繕積立金を下げられますか?
A

可能性はありますが、あなたに本当にその覚悟がありますか?
最近、マンション管理見直しがプチブームです。管理会社の変更や委託内容見直しで管理費等のランニングコストを落とせるかもしれませんが、管理会社変更はそう簡単ではありません

管理会社を見極める難しさ

大手マンション管理会社は経費率が高く、修繕工事には管理会社へのバックマージが含まれ、区分所有者の負担は安くはありませんが、実績・実力・信頼はあり、とりあえず任せておけばそれなりの管理クオリティーは提供されます。新たな管理会社が本当に実力のある信頼できるパートナーかを見極める眼力を管理組合は持たなければなりません。

合意形成の難しさ

管理会社の変更には管理組合総会で過半数の決議が必要です。長年、組合の理事をやっていると管理会社に情が沸いていたりしますし、多くの住民は変化のリスクを避ける傾向にあります。変更支持派は時間、労力、責任を掛けてそのような人々を説得していかなければなりません。

城下智生

マンションが好まれる理由の一つに「煩わしくないこと」があります。よっぽど今の管理会社がひどくなければ、わざわざ管理会社変更に汗をかくような人はほとんどいません

まとめ

物件価格が安くて、ランニングコスト(管理費、修繕積立金)も安くて、資産価値があって、限界マンションにならないマンションはなかった…
でも、考えてみれば当たり前ね。

維持コストが低くて、物件価格が安いけど将来の資産価値を維持し、それでいて面倒な組合活動からフリーでいられる物件の探し方の参考に本記事を読んだ方はごめんなさい。

でも、そういう幻のマンションを探して、一見してお得な条件だけど本当はババ掴むみたいな買い物を避けるために、本記事を参考にしていただければと思います。